主催者の声【中嶋 幹郎 氏】

第13回日本在宅薬学会学術大会

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科・薬学部
教授 中嶋 幹郎 氏


【開催期間】2020年9月13日~9月27日
【会場】Web開催
【参加者数】1,185名


 

 

今回、オンライン学会を開催してみていかがでしたか?

中嶋幹郎氏

中嶋幹郎氏

「第13回日本在宅薬学会学術大会」は、本来ならば7月に長崎ブリックホールに1,000名を越える参加者を迎えて開催する計画でした。近づく会期を前に、予定通りの開催は困難と考えたため、当初は延期して年度内にリアル開催を行う案を検討しました。しかし、新型コロナ感染症の影響が長期化する可能性が高いと判断、開催時期を2ヶ月遅らせた9月に延期し、開催期間を15日間とする「誌上開催を伴うWEB開催」へと変更、プログラムの内容や協賛企業からの協力に関する交渉を一からやり直すことになりました。

オンライン学会は、大阪の学会事務局を含め皆が初めての経験でしたが、学会事務局にサイト作りに精通したスタッフがいるという素地もあり、スピード感をもってオンライン学会用のHPを完成させ、長崎在住のメンバー(大会長:佐々木均氏、組織委員長:中嶋幹郎、運営委員長:手嶋無限氏、運営委員:福地弘充氏)が協力してWEB開催の広報用PVを新たに制作、オンライン学会へ事前参加登録者を勧誘するための情報発信をSNSや動画提供サイトなどを利用し活発に行いました。
この中で最も苦労した点は、多くの学会員にオンライン学会へ参加して頂くため、リアル学会に負けない「長崎らしい楽しさ」を感じてもらえる新たな企画を考えることでした。そこで、「長崎孔子廟でのWEB懇親会(変面、二胡、龍踊りの夕べ)」を思いついたことから、DMOとしてのコンシェルジュ機能を期待し、長崎国際観光コンベンション協会へ相談、地元の自治体やMICE関係者、事業者の皆さんとの新たなコラボレーションが生まれました。
WEB懇親会以外のオンライン学会変更後の主だった企画は、①事前参加登録者への「長崎お菓子セット」の配布、②「地域産品販売サイト」のHPへの開設、③「長崎市長歓迎メッセージ」や「長崎観光バーチャル動画」のHPへの掲載などです。
特に「長崎お菓子セット」は、非常に多くの参加者から「長崎を感じる贈り物」と喜ばれ、SNSなどを中心に目に見える反響がありました。またWEB懇親会で夜の孔子廟の幻想的な雰囲気や変面ショー等のアトラクションを視聴した参加者からは、当日のチャットに「コロナ禍が落ち着いたら長崎へ行きたい」との声が寄せられました。これら長崎MICE関係者皆さんのチームワークが功を奏し、オンライン学会への変更開催にもかかわらず、事前参加登録者は1,000名を超えることができました(最終参加者数は1,185名)。

私自身、リアル学会のままでは出会うことが無かった長崎MICE関係者の皆さんや、長崎孔子廟の若い変面師の皆さんの活動を知ったことから「長崎の良さ」を再発見しました。組織委員長として長崎大会の企画・運営に参加できたことは、私自身の大きな糧にもなる本当に素晴らしい経験になりました。

 

 

今回の主な取り組みを教えてください。

中嶋幹郎氏

中嶋幹郎氏

オンライン学会への変更が決まった後、最初に取り組んだことは、リアル開催での課題を克服できるプログラム作りとWEB開催ならではの長崎大会の魅力作りです。
リアル開催の場合、2日間6会場で各種講演を行うプログラムだったため、参加したいセッションが同時間帯にあった場合には「片方しか参加できない」、また人気の高いセッションでは「会場に入れない」といった課題がありました。これらはリアル開催では仕方が無いことです。しかし、オンライン学会ならばプログラムの構成や開催期間を改めて検討することができます。そこで、指名講演者による特別講演や協賛企業によるスポンサードセッションなどはオンタイムでリアル配信し、一般講演やシンポジウムなどは事前に収録した講演動画をオンデマンド配信することで、全てのセッションへの参加を可能にしました。

また、参加者がオンデマンド配信の講演を余裕を持って視聴できるよう開催期間も15日間としました。その結果、参加者からチャットに「スライドをクリアーに視聴できた」、「オンデマンド配信は繰り返し視聴できた」、「リアル開催よりも参加を満喫できた」との声が寄せられ非常に好評でした。もちろんその前提として、大阪の学会事務局の力で、一定の質が担保された配信状況を準備できたことが大きかったと思います。

一方、WEB開催ならではの長崎大会の魅力作りについては、特にWEB懇親会の会場には長崎らしい異国情緒な雰囲気を持ち、雨天対策も可能な半屋外施設である長崎孔子廟を選びました。当日は変面と二胡のライブショーとドローン撮影による龍踊りの事前収録映像をメインの出し物とし、事前購入できる長崎のお酒とおつまみのセット商品も用意しました。WEB懇親会では地元テレビ局の人気キャスターと私がMCを務め、地域産品の食レポやアトラクションを通して「長崎らしい楽しさ」をライブ配信しました。

 

 

大会開催地を長崎にして良かった点は?

中嶋幹郎氏

中嶋幹郎氏

今回の長崎大会はオンライン学会へ予期せぬ変更となりました。しかし、長崎は多様な「和華蘭文化」の影響を受けた歴史から、沢山の特徴ある施設や史跡、食文化を持っていて、見所や美味しい名物が豊富な街です。そのため、オンライン学会ならではの魅力的なコンテンツを考えることができました。またそれらの仕掛けが、学会員に対して事前の参加登録を動機付ける大きな要因になったと思います。また「大会開催地を長崎にして良かった点」として、私自身が沢山の地元の皆さんと出会えて「長崎の良さ」を再発見できたことも挙げたいですね。

 

 

今後、長崎での会議の誘致や開催を
予定されている方にメッセージをお願いします。

中嶋幹郎氏

中嶋幹郎氏

学会や会議の開催地としての長崎の人気は非常に高いです。全国の皆さんが訪れたい街「長崎」で、学会や会議を是非開催してください。開催することは良い経験になるでしょうし、多くの人々と関わり、語り合うことはとても楽しいです。今回は、リアル学会に負けない長崎の楽しみを感じてもらえる新たな企画として「長崎孔子廟でのWEB懇親会」を思いついたことから、リアル学会では繋がることがなかった地元の自治体やMICE関係者、事業者の皆さんとの新たなコラボレーションが生まれ、長崎大会を成功へと導くことができました。WEB懇親会へは長崎市長にも参加して頂きましたが、これもリアル学会では実現できなかったことでしょう。長崎大会の企画・運営に参加できたことは、私自身の大きな糧にもなる本当に素晴らしい経験になりました。学会や会議の誘致や開催において最も大切なことは、良い施設がある会場を選び、信頼できるサポーターに恵まれることだと思います。学会や会議の目的に合った適切な場所で、素晴らしい仲間と協力して取り組めば、その学会や会議は必ずや成功します。

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