主催者の声【本田 和也 氏】
第7回日本NP学会学術集会
国立病院機構 長崎医療センター 脳神経外科
診療看護師(NP) 本田 和也 氏
【開催期間】2021年11月19日~12月12日
【会場】Web主体のハイブリッド開催(出島メッセ長崎より生配信スタイル)
【参加者数】1,021名
今回の、大会の感想をお聞かせください
本田和也氏
私が会長の役をいただいたのは開催の3年前でした。その頃から「会長として何ができ、何を残し、何を伝えられるだろう」そのことばかりを考えていました。考えついた答えは、「開催準備に関わるチームの行動力とチーム力、そして創造力(ニューノーマルな発想)を活かして、このCOVID-19感染症禍の学術集会運営・開催を新たな形で乗り越え、新たな時代(With・Afterコロナ時代)へ繋げていくこと」でした。
そこで、第7回日本NP学会学術集会(本会)は、運営会社のサポートを入れず「企画・運営メンバーのオリジナリティ溢れるアイデアと行動力」そして「プロフェッショナル(ITエンジニア)チームとのコラボレーション」によって、構想から、企画・準備・当日運営・事務対応、等、心を込めてすべて「手作り」での運営を試みました。
本来であれば、長崎(現地)に約700名の参加者をお迎えし開催する(おもてなしする)予定でしたが、開催期間中はCOVID-19感染症流行禍にあり、苦渋の思いで現地開催から「Web開催主体のハイブリット開催」へ変更することとなりました。しかし、この開催方法の変更を長崎在住メンバー(会長:本田和也氏、副会長:和泉泰衛氏、伊藤健大氏、企画運営委員長:森塚倫也氏、副企画運営委員長:高山隼人氏、事務局長:津野﨑絹代氏)を中心に前向きに捉え「Web開催でも長崎で交流(Collaboration)しているような感覚で参加してもらいたい」という思いで、協力しながら準備を進めました。準備期間は決して楽な道のりではありませんでしたが、多くの支援者の方々からのアイデアを参考にし、楽しみながら開催方法の決定や広報企画などを検討したことが、振り返ると私の一番の思い出になっています。(詳しくは開催報告書をご参照ください:HPにて公開中)
実際には、様々な取り組み(企画)を実行することよって、予想よりも多くのご参加をいただくことができました。事後アンケート結果でも、学術集会参加によって高い満足度を得ていた者が約90%いました。さらに「最後の最後まで楽しく、参加できた。本当に飽きることなく参加できたのは初めて」「新しい形の学会形式でとても良い学術集会でした」といった嬉しい感想も多数いただくことができ、運営スタッフも大満足の会となりました。
私は、病院の臨床現場で活動する一人の看護師です。そんな私が、本会を盛会に導くことができたのも、所属する国立病院機構長崎医療センターの皆様はじめ、長崎MICE関係者の皆様、そしてご支援いただいた関係者の皆様とのcollaborationのおかげであったと思います。また、私自身、会を通じて「長崎の魅力」を参加者目線で考えることができたのもとても良い経験になりました。
今回の主な取り組みを教えてください
本田和也氏
本会をひとことで言えば、感染症流行禍でも、ITツールやWeb配信システムなどを最大限に活用して、演者・参加者、そして主催者の充実感・満足度を高め、学術的発展にも貢献できるコンベンションスタイルの構築を試みた「壮大な社会実験」の側面もあったと言えます。具体的な取り組みをいくつかご紹介いたします。
本会では、目指したいビジョン, 達成すべきミッションを独自に掲げ、それを具現化することに重きを置き、独自の運営方針に基づきながらオリジナリティあふれる企画を検討、実行しました。ここでは広報の企画についての思いをご紹介いたします。
【運営方針】
1. 大幅な経費削減
2. 参加者目線のタイムリーで豊富な情報公開
3. COVID-19 禍での柔軟な対応・徹底した感染対策
4. データをもとにした学術集会運営(エビデンスに基づいた運営)
5. 診療看護師(NP)や医療/看護系学術集会の発展への貢献等、次につなげる、つながる学術集会
運営(With・Afterコロナにおける学術集会運営のあり方模索、準備過程・実施の評価・分析など)
6. 臨床現場と学術集会準備の両立するための運営タスクのスリム化
7. チームワークを重視し、楽しみながらの準備
8. オリジナリティ・ニューノーマルな思考を常に信念に置く
【具体的な広報企画】
Web開催が主流となりつつある学術集会ですが、学術的な企画の価値・オリジナリティを高めることも重要な要素ですが、「開催主催地」として「開催地の魅力を学術集会のコンセプトと結びつけ、その価値を広めること」が会の魅力・集客力をさらに高める重要なポイントではないかと本会運営を通じて感じました。
そこで、本会では、西洋医学発祥の地/国際的な文化交流の街「長崎NAGASAKI」を開催地の魅力として捉え、実際に参加者一人一人がWeb上でも長崎で交流しているような感覚になれるよう、開催前から積極的に参加型の企画を実行しました。具体的には、①学会公式SNSや②公式YouTubeで、長崎県の観光地の画像や動画を拡散し長崎県に興味を持っていただくような取り組みをしました。また、③学会では聞けない素朴な疑問を公募し、その疑問にラジオ感覚で答えていくという企画や④本会に対する応援動画を国内外から集め、編集した動画を定期的に参加者に配信したり、実際のWeb学会場で配信したりと、バーチャル空間で参加者一人一人が主役になれる、交流できるような取り組みをしました。
また「記憶よりも記録に残す」という会長の思いから、Web化されつつある抄録集も冊子として発行し、その内部にも長崎の観光地の景色を載せたり、配送するときの封筒に長崎市の観光パンフレットを同封したりと、長崎に実際にTripしたような気分になれるように配慮しました。
この「壮大な社会実験」の結果は、もちろん大成功でした。また、盛会の裏にある、準備過程を本会として分析し、報告書としてまとめた点も大きな取り組みの一つだと思います。(詳しくは開催報告書をご参照ください:HPにて公開中)
With・afterコロナ時代の学術集会運営の参考になることを主催者として願っております。
今後、長崎での会議の誘致や開催を予定されている方にメッセージをお願いします
本田和也氏
私の生まれ育った 長崎には観光地としての魅力が多くあり自慢したいところばかりです。また、そればかりではなく、出島メッセ長崎や新幹線開通など学術交流の後押しとなるインフラなども整備されつつあります。実際に、長崎MICEの皆様や街全体が学術集会の誘致・開催を応援してくれているような感覚を抱きましたし、実際に多くのサポートがありますので、ぜひこれから誘致や開催をご検討されている方は一歩踏み出してみていただけたらと思います。私も次は国際学会を主催できるような人材に成長したいという新しい目標ができました。いつの日か、長崎が観光の街ではなく、学術交流の街としても盛り上がっていることを、一人の長崎県民として願っております。