ほっこり懐かしく、新鮮で刺激的!令和の長崎で、昭和レトロめぐり
純喫茶、シティポップ、カセットテープなど、いまZ世代、デジタルネイティブ世代を中心に「昭和レトロ」がブームです。昭和の面影を感じる、ノスタルジックな雰囲気とカラフルでポップな色合いが若い世代の心をキャッチし、懐かしさも相まって幅広い世代に受け入れられています。異国の文化が交差し、華やかな歴史を刻んできた長崎には明治・大正レトロな建造物が多く残っていますが、じつは昭和の時代にも活気に満ちた人々の暮らしが垣間見えるものがたくさん残っています。当時の趣が色濃く残る純喫茶や希少なデパートの屋上遊園地など、ここでは「長崎の昭和レトロ」をテーマに、古くて新しいスポットをご紹介!旅の道中、名所を巡りながらほっとひと息、長崎市内にある昭和を感じるスポットを訪れてみるのも一興です。写真はもちろん「写ルンです」で!? 令和の長崎で昭和レトロめぐりをどうぞ!
長崎市中心部にある
アーケード周辺で昭和レトロを探せ!
「長崎浜屋」の目の前に古くからあるテナントビル「仲見世8番街」。福山雅治さんの楽曲『Fellow』に登場することでも知られるこちらは、看板や床材、1Fにある創業100年以上という「大曲洋傘店」のロゴなど随所にレトロを感じるスポットです。もうひとつ、アーケード〈ベルナード観光通り〉を歩くとぶつかる万屋町の、万屋(よろずや)通りでは、ライトの上に鯨がのっている街灯があります。その隣の通りにある180種類以上のトルコライスを味わえる専門店は、1973年(昭和48年)創業の貫禄を存分に感じることができるお店です。名所を巡りながらほっとひと息、長崎市内を歩きながら昭和レトロに心癒されてください。
直角で赤。派手なのに落ち着く
昭和レトロなソファ席
純喫茶のまち。こんな風に表現できるほど、長崎市内にはついつい長居したくなる純喫茶が多くあります。出島方面に行くなら「絵里奈」へどうぞ。カウンターのコロンとしたハイチェアや、背もたれが直角でピタッと後ろの席とくっついている鮮やかな赤い生地のソファ席。まさに昭和な薫りが漂うこちらは1977年創業の喫茶店で、コーヒー伝来の地、出島で開業当時のままの姿で営業しています。使い込まれたサイフォンで淹れたコーヒーは美味、常連客で賑わっています。ソファ席に腰かけてひと呼吸すると、ゆったりとした時間が流れていきます。
絵里奈
長崎市出島町4-12
「長崎駅前電停」から崇福寺行きの路面電車に乗り「出島電停」で下車、徒歩4分
095-821-9744
9:00~18:00※日曜のみ12:00~17:00
休:不定
これぞ純喫茶の王道
ノスタルジック空間&メニュー
長崎市の観光名所・諏訪神社方面へ行くなら、眼鏡橋がかかる中島川沿いを散歩しながら、新大工町の純喫茶「冨士」へどうぞ。店内に歩を進めると、床も壁も天井もすべて、古き良き風情を感じさせてくれます。昭和レトロな内装で、岩波文庫を読みながらコーヒーを飲めば昭和の”インテリゲンチャ”を気取ることができるはず。おすすめはキレイなグリーンのフレッシュレモン、フローズンいちごが映える「クリームソーダ」と「フルーツサンド」。やさしい味わいが口いっぱいに広がります。
喫茶 富士
長崎市新大工町2-19
「長崎駅前電停」から蛍栄屋行きの路面電車に乗り「新大工町電停」で下車、徒歩4分
095-823-8255
9:00~18:30
休:1/1
選んで見て楽しい、レトロ雑貨店
路面電車に揺られ〈岩屋橋電停〉で下車。すぐ近くにあるのが、生まれも昭和、ハマったのも昭和と話す店主・宮地さんが営む雑貨店「がちゃがちゃ屋」です。骨董市で一目惚れした、自分より年上の食器棚を衝動買いしたことから、のめり込んだのが昭和レトロな世界で、店を構えるまでになったそう。40年以上前の雑誌やダッコちゃん人形、ガラスの器、ブリキのおもちゃなど、その時々の時代を映すレトロ雑貨ならではの魅力を感じ取ってみてください。
がちゃがちゃ屋
長崎市大橋町6-7
「長崎駅前電停」から赤迫行きの路面電車に乗り「岩屋橋電停」で下車、徒歩2分
095-846-1995
12:00~19:00
休:水曜
Ride in a car
少し足を伸ばして、昭和レトロな音楽を!
長崎市中心部から車で約1時間の琴海地区にある「清流と棚田の里」は、川遊びやテントサウナを体験できるキャンプ施設として人気のスポットです。ここにある「昭和の館」には、音楽好きの70代のオーナー・吉川さんが趣味で集めたレコードやカセットが並んでいます。アナログレコード好きにたまらないドーナツ盤の中にはレアものが多数!? 販売はしていませんが懐かしの昭和歌謡をプレイヤーで聴くことができます。昭和を感じる空間でほっと一息ついてみては?
清流と棚田の里 昭和の館
長崎市琴海戸根町町2258
長崎市中心部から車で約1時間
090-4359-4743
10:00~17:00
休:年末年始・盆休み・ほか不定休あり
※屋上プレイランドは2024年5月6日(月・祝)を持ちまして営業終了しました。
昭和がそのまま“経年魅力化”
写真に残したい屋上プレイランド
昭和14年に開店したデパート「長崎浜屋」の屋上にあるこちらは、長崎市民であれば誰もが知っているプレイランドです。プレイランドとは屋上遊園地のこと。昭和30年~40年代が全盛期と言われ、いまや絶滅の危機にある貴重なスポットです。愛くるしいオオカミがちょこんと座った乗りものや、修理や調整を重ねたであろうミニカートが、いまも現役で子どもたちの好奇心を刺激しつづけています。駄菓子も値上がりするこの令和にあって、なんと10円からプレイできるゲームも健在。こちらは大人の乗車もOKです。昭和レトロブームを追い風とし、近年はノスタルジックな雰囲気を味わいつつ、古くて新しいダサカワなデザインを撮影する目的で訪れる観光客も多いとのこと。2024年(令和6年)で勤続50年を迎える吉濱さんも「口コミなのかな?SNSの力なのかな?今もたくさん人が来るよ~」と、全てのゲームを管理する鍵をジャラジャラさせながら笑顔を覗かせています。
長崎浜屋 屋上プレイランド
長崎市浜町7-11
※2024年5月6日(月・祝)営業終了
長崎市民のとっておきVOICE
市民の声に耳を傾けてみたら、知らない長崎がこんなにあった。今年、あなたの知らない長崎へ行こう。
児玉 芳明
駄菓子屋で買うた爆竹ば鳴らし、お墓の塀で鬼ごっこばして、中島川でドンポ(ハゼの仲間)ば釣りよった、昭和の子ども時代。近所の大人にイジ(=長崎の方言ですごく)で怒られよりましたが。新大工、大浦、浜んまちの街中でも、ひとつ角を曲がったり、裏路地にさまよい込めば、そげん昔の風情ば残す路地裏が、まだまだ長崎には残っとっですよね。片淵の長崎監獄跡んにき(=長崎の方言であたり)の煉瓦塀、市街地を取り囲む様に配置された沢山のお寺、長崎街道の出発地点、昭和レトロなビル、現存する日本最古の鉄筋コンクリート造りの公営住宅、魚の町団地などなど。観光地としてはあんまし顧みられんですが、そげん場所をさらいてみてはどげんでしょうか?
ディープな長崎ネタを投稿するSNSグループ「まいにち長崎」管理人、路地裏カメラマン
児玉 芳明
田川 明美
長崎は異国情緒漂う街。ちょっと路地に入ればレトロな店との出会いがあったりするものです。私のオススメはアンティークの着物を着て「カフェ南蛮茶屋」でお茶をする事。レトロな外観とアンティークな店内はノスタルジックな世界へと誘ってくれます。古いレコードを聴きながらマスターの淹れるコーヒーを飲む至福のひととき。もう一つの推しはレトロ服の「五鉄」で、こちらは昭和感満載のレトロファッション店。60~70年代の可愛くてポップな服が店内にズラ~り。昔の服は縫製もしっかりしていて、人と被らないデザインは目を惹きます。着ると昭和の時代にタイムスリップしちゃいますね。
アンティーク着物べっぴん店主
田川 明美
宮地 理佳
純喫茶にあるような古いガラスの角砂糖入れ、黒電話の音、おばちゃん家にあった玉暖簾の音、寄り道した駄菓子屋など……、ほっこりするモノたち。そんなぬくもりのある空間を大切に。 レコードに針を落としたり、カメラを手巻きしたり、木製の棚やガラス窓など閉めるのに時間がかかったり……、ちょっと不便なゆっくりした時間も大切に。 戦前の気泡グラス、ユラユガラス、戦後からの花柄、ポップ柄、レトロなビタミンカラーのコップなど、時代を通して「懐かしく」「新しい」「非日常」なモノや古道具。これからも、古き良き時代の物や歴史的な建物のある長崎で探し求めて……。 「古いものを大切に」。
がちゃがちゃ屋店主
宮地理佳