そうだ、長崎のとっておきの話をあの人この人に聞いてみよう。インタビューするのは長崎にゆかりのある、長崎愛に溢れた人たち。名づけて「NAGASAKI知る人VOICE」。あなたが想う、長崎のとっておきを教えてください!!
あなたの長崎愛、聞かせてください。インタビューしたのは…?
山口広助
山口広助
Hirosuke Yamaguchi
まち歩きの達人 / 長崎市在住27年目
長崎の歴史風俗研究家。1970年長崎市丸山町に生まれる。1993年東海大学工学部土木工学科卒業。1993年株式会社鹿島道路横浜支店入社。1998年料亭青柳入社。2020年有限会社青柳取締役就任。地元丸山町で20年以上自治会役員を務め、自治会の振興や梅園天満宮の再興に尽力。長崎の歴史風俗の研究家として、2006年開催の「長崎さるく博’06」市民プロデューサーを務め、まち歩きガイドとしても活躍。現在は小学校などのゲストティーチャーや講演活動において長崎の魅力を幅広く伝えている 。
家業の料亭「青柳」(長崎市丸山町)を手伝うため、生まれ育った長崎市に戻ってきたのが1998年頃でした。「青柳」に訪れたお客様をおもてなしする一方、地元に詳しい方に教わりながら歴史や街並みについて調べていた当時、吉報が舞い込みました。小説家・なかにし礼さんの『長崎ぶらぶら節』が直木賞を受賞し、舞台となった丸山町をはじめ、長崎市にも多くの観光客が訪れるようになったんです。
この頃から“まち歩きガイド”の活動をはじめ、2006年開催の「長崎さるく博」では市民プロデューサーを務めさせてもらいました。「長崎さるく博」もきっかけのひとつになり、長崎のまち歩きが注目を集め、現在につながる市内を巡るコースが多く生まれたと記憶しています。
毎年、「ヒロスケさるく」と題したディープなまち歩きを企画し、今年度は「さるく空白域を巡ろう」をテーマにさまざまなコースを設定し、リピーターの方たちにも楽しんでいただける内容になっています。
すり鉢状の地形にたくさんの建物がひしめき合う長崎市内中心部は、どこを切り取っても楽しめる絶好のまち歩きエリアです。オランダ坂や出島といった有名な場所だけではなく、城山台や丸善団地など、普通の住宅地からの眺めも素晴らしいです。
ちなみに意外と知られていませんが、大波止のゆめタウン夢彩都3階は、隣に建つドラゴンプロムナードと遊歩道で繋がっているんです。そういった意外性のあるコース設定や興味をそそる解説こそ、まち歩きガイドの腕の見せどころですね。「松森天満宮の梅」や「西山神社の桜」「興福寺の紫陽花」など季節の草花を踏まえたコースを作ったり、まち歩きの最後に地元のお菓子屋さんでお土産を購入できるようにしたり、滅多に行かない場所への道中も含めて楽しめるよう工夫しています。
個人的なお気に入りは、寺町の斜面に並ぶお墓ですかね。この場所から長崎の街を見下ろすと、ここに眠る長崎で活躍した偉人たちはまちの発展をどう思っているのかなと考えます。長崎は開港450年の歴史があると言われていますが、実は450年前と同じ場所って少ないんです。当時、グラバー園はありませんし、今の出島も復元されたものです。その点、寺町のお墓は当時からずっと変わらずそこにあります。長崎の偉人のお墓をガイドする際は、あまり年表的な堅苦しい話はせず、その方の人柄が伝わるようなエピソードを話すように心がけています。そうすると、冷たい墓石がなんだかあたたかく感じられるんですよ。まちや景色の見え方が変わる、これがまち歩きの醍醐味です。