
そうだ、長崎のとっておきの話をあの人この人に聞いてみよう。インタビューするのは長崎にゆかりのある、長崎愛に溢れた人たち。名づけて「NAGASAKI知る人VOICE」。あなたが想う、長崎のとっておきを教えてください!!
あなたの長崎愛、聞かせてください。インタビューしたのは…?

小林央幸
Hirotaka Kobayashi
稲佐山観光ホテル 専務取締役
長崎市在住 20年目
1975年長崎市に生まれる。長崎市中心部の小学校に通い、高校卒業後に上京。大学と専門学校を経て2003年にUターン。2004年から長崎県観光連盟に1年間の出向後、現在は兄の小林秀顕さんが社長を務める稲佐山観光ホテルでの勤務がスタート。カレー好きが高じて長崎ならではのレトルトスープカレーを開発したほか、ワインに関しては日本ソムリエ協会(J.S.A.)認定ソムリエの資格を取得。柔軟な発想で様々な事業にチャレンジしている。
長崎の街を見下ろす稲佐山の中腹に建つ「稲佐山観光ホテル」は、創業1940年という老舗ホテルです。これまでは団体観光客や修学旅行生を多くお迎えしてきましたが、近年は個人の観光客の方も増えて同じくらいの割合となりました。
私は専務取締役として、サービス・品質・売上の向上、職場環境の改善等、経営全般の潤滑油的な役割を担うと共に、新しい事業にチャレンジしたりしています。その一つが「長崎スープカレー」の開発です。
昔から個人的にカレーが大好きで、おいしいカレーを試行錯誤する中で「長崎らしいちゃんぽんスープをベースにすれば、新しいご当地カレーができるのでは?」と思いついたことがきっかけです。コロナ禍で一時的にホテルが暇になった時間を有効活用して、レトルトのスパイスカレーを開発。長崎ばってん鶏や長崎芳寿豚を使用した、まさに長崎ならではの新しいご当地カレーです。
日本各地に夜景がきれいな場所はありますが、例えば函館や神戸は一方向から景色を楽しむのが一般的ですよね。長崎の場合、すり鉢状の地形のいろんな場所から市街地を見下ろすことができるので、それぞれ違った見え方を楽しむことができます。
例えば稲佐山の頂上から見る夜景は、まるで天の川のようにスケールの大きな光が広がります。そして中腹にある稲佐山観光ホテルの屋上から見る夜景は、車の動きや斜面地の住宅の光がより身近に感じられます。もちろん反対側の鍋冠山や風頭山、立山からの夜景も素晴らしいですし、近い距離で街の息吹を感じるような夜景が楽しめるのは、長崎の夜景ならではと思います。
稲佐山から見る、日の出もとてもお勧めです。夜から徐々にまちが明るくなっていく景色のグラデーションがとても美しいのです。毎年お正月の朝は、多くのお客様と共にホテルの屋上から初日の出を眺めるのがお決まりとなっています。
やはり諏訪神社の秋の例大祭である「長崎くんち」が開催される10月上旬に合わせて訪れていただきたいですね。各踊町が市内を歩き、建物の前で踊りを呈上し福をお裾分けする「庭先回り」を間近で見ることができます。最近はアプリでリアルタイムに位置を把握することができるので、お気に入りの踊町を“追っかけ”して楽しむのもオススメです。神社のお祭りですが、和・洋・中のいろんな文化や歴史が感じられる内容で、全国探しても長崎にしかないユニークなお祭りです。
実は10年前、五島町の龍踊りに私も出させてもらったんです。本番の何ヵ月も前から準備して、体力づくりした上で稽古を重ねて本番へ。かなり大変ですけど、見るだけじゃなくやっても面白いのが「長崎くんち」なんです。
長崎市中心部、特に銅座や思案橋周辺はいろんなお店が密集しているので、飲み歩き・食べ歩きするのにピッタリです。知り合いを案内する定番コースとして、まず、市民にはお馴染みの一口餃子のお店で、餃子とビール、長崎のソース文化を堪能できる「豚ニラトジ」を頼みます。これほどウスターソースの合う食べ物はないと思ってます(笑)
2軒目は新鮮なお刺身が食べられる居酒屋へ。その後はバーやスナックに立ち寄り、最後はシメのちゃんぽんかおにぎりでお腹を満たします。思い出の味といえば、最近は他県でも知られるようになってきた、長崎ならではの“白い”鉄火巻き。ヒラスなどの新鮮な魚を巻いたもので、コリコリとした食感が抜群です。自分にとっては白いのが当たり前だったので、上京してマグロの赤い鉄火巻きを食べた時は衝撃を受けました。
長崎市ならではの魅力を紹介するサイトはこちら
「長崎のふつうは世間のふしぎ」
昔ながらの地元の飲み屋やスナックにもぜひ立ち寄ってほしいですね。写真は思案橋電停から降りて徒歩2分の「Heart Land YOU」というお店。気取らず過ごせる和気藹々とした雰囲気で、地元のママならではの長崎弁もたっぷり堪能できます。お気に入りの馴染みのお店を見つけると、もっと旅が楽しくなりますよ。
長崎市中心部は歴史的に、いろんな場所から出島を目的に集まった人たちで街が構成されています。どこかで「三代住めば長崎人」という言葉を聞いたことがあって、それだけ排他的ではなく外の人を受け入れる文化があると感じています。勇気を出して、ぜひローカルなお店に立ち寄ってほしいです。きっと「どっから来たと?」とあたたかく迎えてもらえると思います。