ストーリーを知ると満足度UP!春の長崎、異国情緒散歩
古くから西洋との交流が盛んだった長崎には、異国の文化と融合し、独自に発展してきた“まちの歴史”があります。市内を歩くと歴史的建造物が点在し、異国情緒ただよう街並みと出会うことができます。
例えば、グラバー園のある南山手地区から外国人居留地があった東山手一帯を歩くと、西洋人が日本で築いた安住の館が多く残り、彼らが建てたレンガや石造りの洋風建築の建物を気軽に見学できます。
「200年にわたる鎖国が幕を閉じた時、世界各国の人々が日本を目指してやってきた」ーーこんな歴史的なストーリーを旅の道中に学び、知ると、長崎の旅はよりいっそう愉しいものになるはず。
題して、長崎の異国情緒散歩。季節は春うらら、歴史を知って思いに馳せる旅はいかがでしょう?
異国情緒をめぐる散策は、長崎港を見下ろすことのできる南山手地区からから始めてみましょう。
定番の人気観光スポット「グラバー園」や「大浦天主堂」を訪れた後は、そのすぐ近くにある「長崎市南山手地区町並み保存センター」にも是非行ってみてください。
かつて外国人居留地として栄えた南山手地区エリアは、現在は伝統的建造物群保存地区に指定され、同センターは保存地区内の伝統的建造物として公開されている場所です。
建物の中には居留地の紹介パネル、模型などを展示しています。雑貨市などのイベントも随時開催しているので、参加してみては?
長崎市南山手地区町並み保存センター
長崎市南山手町4-33
095-824-5341
9:00〜17:00
月曜休
路面電車・大浦天主堂電停から徒歩約3分の距離にある「長崎市旧香港上海銀行長崎支店記念館」。1904年(明治37)に建設された後、さまざまな変遷を経て、現在は銀行時代の姿を復元。長崎市で最大級のレンガおよび石造り洋館です。1階の多目的ホールは、明治時代の華麗な装飾が施されています。香港上海銀行が時代の最先端であったことを感じさせる、レトロモダンな空間を堪能できます。
重厚な雰囲気と歴史のロマンが詰まった空気感は、長崎の歴史があってこそ。
上階はミュージアムで、長崎港や上海航路、孫文と梅屋庄吉の友情と功績について展示しています。
長崎市旧香港上海銀行長崎支店記念館/ 長崎近代交流史と孫文・梅屋庄吉ミュージアム
長崎市松が枝町4-27
095-827-8746
9:00~17:00(最終入館は20分前まで)
第3月曜休(祝日は営業、翌日休) ※メンテナンスのため休館する場合あり
※展示替え作業のため展示室を閉室する場合あり
ミュージアム(2・3階)高校生以上300円、小中学生150円
「長崎市旧香港上海銀行長崎支店記念館」からオランダ坂方面に5分ほど歩くと、レンガ調の外観と大きな窓が印象的なスタイリッシュカフェ「HAYAMA COFFEE」が現れます。こちらは地元民にも愛されるお店。長崎が地元の建設会社が運営しているとあって、店内はインテリアのショールームのよう。ハイセンスな内装と、この一帯の雰囲気に合わせたかのような世界観がお出迎え。
オススメはサンド系を中心としたフードメニュー。長崎産のサバを竜田揚げにしてバゲットで挟んだ、長崎の新・ご当地名物「サバサンド」を是非オーダーしてみてください。
HAYAMA COFFEE 長崎オランダ通り店
長崎市大浦町5-42
8:00~18:00
元旦休
「HAYAMA COFFEE」から歩いてすぐのところにある「オランダ坂」は、東山手エリアの入口に位置し、現在も生活道路として地元民が使う、歴史ある石畳の坂道です。少し急な坂道を登りはじめると、すぐ脇に「東山手甲十三番館」、その先に「東山手十二番館」などの洋風木造建築が続きます。
洋風木造建築の多くは無料で入場でき、異国情緒ただようレトロな雰囲気を味わいながら、古写真や調度品、歴史的資料を見学することができます。
オススメは「東山手甲十三番館」。明治中期に建てられた美しいブルーの洋館として知られるこちらは、外国人居留地の代表格。当時の住人の暮らしぶりを感じつつ、休憩スポットとしてカフェが併設された1階では、ダッチコーヒーや人気のカステラアイスを味わうことができます。
広いバルコニーは眺望も抜群。長崎旅の良質な思い出になること、間違いなしです。
東山手甲十三番館
長崎市東山手町3-1
095-829-1013
10:00~16:00
月曜休
南山手・東山手の居留地エリアを散策した後は、中華街をぬけて長崎一の繁華街として知られる浜町方面に向かってみましょう。
いま、長崎市民の中で話題のラグジュアリー空間を味わいたいなら、2023年3月にオープンした「BLUEPRINT PATISSERIE LOUNGE NAGASAKI」へどうぞ。1500冊の建築の本に囲まれながら、スイーツはもちろん、料理やお酒も楽しめるラウンジです。店内はダークブラウンの木材や白を基調としたインテリア。天井が高く、窓からは明るい光が差し込み、ゆったりと過ごすことができます。
人気のメニューは、季節のフルーツを使ったタルトや濃厚なチョコレートムースなど、見た目にも美しいスイーツがバリエーション豊富にラインアップされています。パンやカヌレなどの焼き菓子も充実。コーヒーや紅茶はもちろん、シャンパンやワインなども用意されており、夜はバーとしても営業しています。
BLUEPRINT PATISSERIE LOUNGE NAGASAKI
長崎市銅座町14‐4 THE DOUZA BLDG.1F
095-825-3360
パティスリー11:00〜深夜0:00
ラウンジ11:00〜16:30
火曜休
市民の声に耳を傾けてみたら、知らない長崎がこんなにあった。今年、あなたの知らない長崎へ行こう。
高松 田江子
小さい頃のラジオ体操はお諏訪さん(諏訪神社)。ずっと長崎に住んでいるので、長崎の町並みがあたりまえと思って過ごしてきました。大人になって、県外に行ったり県外の友達と観光したりして他県とは違う雰囲気の異国情緒という意味が分かってきました。例えば、石畳の道。家への帰り道、子どもが「ヘリコプターのおとがするー」というので、なんのことかと思ったら石畳の道を車で走る音でした。また子どもたちもこの町並みがあたりまえに育っていくんでしょうね! この長崎らしい異国情緒溢れる町並みをぜひ家族で楽しんでもらいたいです!!
高松 田江子
生まれた時から長崎市街地在住
青栁 智子
居留地エリアを歩いてみると、ここで暮らした先人たちが育んだ様々な文化・物語を感じることができます。と同時に、それらを大切に守り受け継いできた、たくさんの人々の想いにも触れられます。私はいま居留地で暮らしていますが、旧居留地時代の外国人が実際に住んでいた洋館でお茶を飲みながらちょっと一息つく時間がとても好きです。街並みや異国情緒あふれる場所を素直に楽しむのもよし、歴史や文化の背景を知り思いを巡らすのもよし、それぞれの楽しみ方をしていただきたいです!
青栁 智子
東山手「地球館」Cafe Slow _国際交流と、地域・観光の新拠点
村内 尚子
わたしは長崎生まれ長崎育ちで、中学2年まで十人町という、家から少し階段を降りたら唐人屋敷跡エリアで、逆に少し階段をのぼれば東山手エリアという場所で育ちました。子供の頃は土神堂の橋の階段で友達と遊んでいたし、東山手十二番館前の急な坂道では「この石だたみ滑ってみたかね!」と友達と段ボールを持ってきて実験してみたり(結局滑らず交代で引っ張り合いましたが)、そこにお堂があろうが洋館があろうが何にも疑問を持つことなく過ごしてきました。まさか自分がまち歩きの仕事をするとは思いませんでしたが、この仕事をきっかけに「そこにあって当たり前の景色」が実はそうじゃなかったことに気付き、自分の地元がこんなに面白いんだと大人になってからの大発見でした。自分が感じた長崎の魅力、その面白さを県外のお客様はもちろんのこと、県内のお客様へもお伝えできたらと思っています。
村内 尚子
長崎国際観光コンベンション協会 事業部 まち歩き課