祈りと安らぎ、伝統と暮らし、平和祈念…
心温まる「長崎の冬灯り」めぐり
異国情緒ただよう街並み、歴史的建造物が点在する長崎市内には、太陽が西に傾きはじめる時間からまちを照らすさまざまな灯りがあります。
教会を照らす灯り、古くから長崎市民に親しまれてきた灯り、平和への祈りが込められた灯り、中国文化を象徴する灯りなど、長崎の夜を彩る灯りには一つひとつ、さまざまな物語が込められています。
コートを羽織ったら、夜の帳が下りるまちへと繰り出してみてください。旅の思い出が深まる、長崎の冬灯りめぐりをどうぞ!
祈りと安らぎの灯り
長崎と教会は切っても切り離せないものがあります。世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産があり、カトリックの信徒も多い長崎は、厳かにライトアップされた教会や洋館がよく似合います。祈りと安らぎの時間をゆったりと体感できる“光の体験”を味わってみては?
大浦天主堂&グラバー園
夜になると美しくライトアップされる「大浦天主堂」。白亜に浮かび上がる姿と、光によって生み出される陰影が、より情緒的な雰囲気を醸し出します。近隣にある「グラバー園」も時期によって夜間開園され、洋館が光に包まれます。どちらも「日本夜景遺産」の「ライトアップ夜景遺産」に選出されており、冬のイルミネーションは特にオススメです。
大浦天主堂
長崎市南山手町5-3
路面電車「大浦天主堂」電停より徒歩5分
グラバー園
長崎市南山手町8-1
路面電車「大浦天主堂」電停より徒歩8分
聖フィリッポ教会(西坂教会)&中町教会
建築家・今井兼次によるキリスト教建築物として知られる「聖フィリッポ教会(西坂教会)」や、彫刻家・舟越保武による「二十六聖人殉教記念碑」のレリーフも、夜になるとライトアップ。殉教の丘が光に包まれると、言葉では言い表せないメッセージ性を感じます。聖フィリッポ教会から徒歩6分ほどの場所にある中町教会もぜひ一緒に。原爆落下中心地から約2.5kmの距離にある中町教会は、原爆の影響を受けながらも外壁と尖塔部分が耐え残り、それらはそのまま生かして再建されています。紫色に照らし出された尖塔部分は、長崎の力強さを感じる象徴です。
聖フィリッポ教会(西坂教会)
長崎市西坂町7-8
JR長崎駅より徒歩7分
中町教会
長崎市中町1-13
JR長崎駅より徒歩6分
写真提供:Ⓒ長崎ブログ―ッ!
浦上天主堂
かつて潜伏キリシタンが信仰をつないだ浦上の地。この地に旧浦上天主堂が建てられていました。1945年8月9日、上空500mで炸裂した原爆により、一部を残して破壊されてしまうという悲しい歴史が、迫害されたキリシタン殉教者の悲劇と共に積み重ねられました。現在は同じロマネスク様式で再建された教会堂が“鎮魂の灯り”として、夜になるとライトアップされています。
原爆の爆風から耐え残った「旧浦上天主堂の遺壁」は、平和公園内の原爆落下中心地碑に隣接して移築されていて、こちらもライトアップされているので、ぜひ合わせてチェックしてみてください。
長崎市本尾町1-79
長崎バス「浦上天主堂前」バス停より徒歩1分
伝統とまちをつなぐ、市民に親しまれる灯り
和・華・蘭文化が息づく長崎は、西洋文化・中国文化と並んで日本文化もしっかり刻み込まれています。神社や仏閣は、その象徴的存在。長崎くんちを秋の大祭として催し、“お諏訪さん”と市民に親しまれている諏訪神社をはじめ、市内のたくさんの神社や仏閣が長崎の夜を彩っています。地元民に親しまれ、絆を感じる長崎の「和の伝統」を光と共に再認識してみてください。
諏訪神社
長崎の氏神、お諏訪さん。長崎くんちで賑わいを見せる季節だけでなく、年間を通して市民や観光客が足を運ぶスポットです。一番最初の参道入口の鳥居からライトアップされる姿は壮観。夏から秋にかけて運が良ければ長崎くんちの踊町が練習している姿を見ることができるかも。
長崎市上西山町18-15
路面電車「諏訪神社」電停より徒歩5分
写真提供:ⒸLighting Planners Associates
八坂神社
約390年前から毎年夏に開催される「祇園祭」でも有名な八坂神社も、夜になると美しくライトアップされています。隣に並ぶ清水寺もライトアップされるので、合わせて押さえておきたいところ。それぞれの山門や鳥居が光に照らされる情景も見事です。
長崎市鍛冶屋町8-53
路面電車「崇福寺」電停より徒歩3分
若宮稲荷神社
江戸時代に創建された歴史深い若宮稲荷神社。秋の例大祭で奉納される無形民俗文化財「竹ン芸」は多くの市民に親しまれています。寺町通りから龍馬通りに続く街路灯が温かみのある照明でつながっていて、夜の散歩も安心です。
長崎市伊良林2-10-2
路面電車「新大工町」電停より徒歩10分
華やかさと暮らしが共存する灯り
中国の文化が根づく長崎市には、唐人屋敷跡や新地中華街の中華門など、夜になるとライトアップされるスポットが点在しています。中国の旧正月を祝う春節祭の時期に開催されるランタンフェスティバルでは、まち全体が光に包まれますが、年間を通して、彩り豊かな建造物が映えるように、長崎の中の“中国”が、夜のまちに浮かび上がります。
唐人屋敷跡 土神堂
鎖国期にオランダ人が出島に暮らしていた頃と同じ時期に、長崎に滞在していた中国人たちは、唐人屋敷跡一帯で暮らしていました。唐人たちの願いによって建立された土神の石殿「土神堂」も、夜間ライトアップされています。現在の土神堂は1977年に復元工事を行ったものですが、悠久の歴史を感じさせてくれます。
長崎市館内町16-17
路面電車「新地中華街」電停より徒歩8分
湊公園中華門
ランタンフェスティバルのメイン会場である湊公園に建つ「中華門」。ランタンオブジェが多く飾られるイベント中にも存在感たっぷり。中国から専門の技術者を招き、中国産の御影石、太湖石などを使用、中国の古典建築様式で建造された本格派の「中華門」を、新地中華街のそれと比較してみるものオススメです。
長崎市新地町7
路面電車「新地中華街」電停より徒歩4分
平和祈念の灯り
広島に次ぐ被爆地となった長崎では、平和への祈りを込めた建造物や当時の被害を今に伝える原爆遺構が平和公園エリアに点在しています。その代表格であり長崎の平和の象徴である「平和祈念像」のライトアップは、平和への想いを映し出すための大切な灯りです。
平和公園(平和祈念像&平和の泉)
「夜でも訪れた人たちが祈りを届けられるように」と、ライトアップされている平和公園エリア。「平和を希(こいねが)う光」というコンセプトを掲げ、平和祈念像や平和の泉などを照らしています。広場から平和祈念像に向かって延びていく優しい光の道は、平和への祈りが込められています。原爆落下中心地碑や原爆資料館などの周辺にもLEDが設置され、エリア全体が光に包まれています。
写真提供:ⒸLighting Planners Associates
長崎市民のとっておきVOICE
市民の声に耳を傾けてみたら、知らない長崎がこんなにあった。今年、あなたの知らない長崎へ行こう。
浦 楓佳
長崎市景観推進室では「環長崎港夜間景観向上基本計画」に基づいて、市内の観光施設等のライトアップの整備を行っています。稲佐山からの夜景は有名ですが、他にも平和公園や眼鏡橋、出島地区など、長崎市の主要な観光施設がライトアップされていることをご存じですか?私のお気に入りの夜景は、グラバー園の第 2 ゲートから下って大浦天主堂に向かう途中にある「祈念坂」。坂の上から見下ろすと先の方には港が見えて坂の脇にある手摺の照明は暖かい光で道を照らしています。今まで日中にしか見なかった景色を夜に見てみると、日中とは全く違った夜の顔が見えてきますよ。みなさんもぜひ、夜のまちあるきで長崎の夜景をお楽しみください。
浦 楓佳
長崎市景観推進室
小川莉歩
県外からの友人が来たときに必ずといってもいいほど連れていくのが、やっぱり稲佐山です。夜景がきれいなのはもちろん、夕日が沈む瞬間もたまりません......!冬なら、17時半くらいに行って夕焼けからの夜景を楽しむのがオススメです。また、反対側にある鍋冠山も地元民イチオシのスポット。稲佐山と比べたら低いので、街の明かりが近くて迫力を感じますよ♪ほかにも、眼鏡橋や水辺の森公園、長崎県美術館は、夜のお散歩コースにぴったり。ライトアップをしている場所もあるので、映え写真も撮れちゃいます!海風が冷たいので、温かくして長崎の夜を楽しんでください!
小川莉歩
インスタグラマー
田口 優
長崎市中心部は、夜のランニングがすごくオススメです。いつも明るいし、何より夜景がとても素敵なんですよ!特にわたしのお気に入りは長崎県庁から水辺の森公園までの、港ならではの絶景ルートです。稲佐山や女神大橋も見えるし、おさんぽコースとしても楽しめると思います。デートしている人も良く見かけますしね!(笑)わたし、ランニングと同じくらいお酒も大好きなんです!思案橋横丁の提灯の灯りとスナックやバーのネオン看板はレトロでお気に入り。よく観光客の方が足を止めて撮影をしている姿を見かけます。大好きな「かにや」や「だるま」の提灯をみると遅い時間でもついつい足が店内へ...。ぜひ、色々な角度から夜の長崎を満喫してもらえると嬉しいです!
田口 優
飲み歩きとランニング好き